12Vバッテリー充電制御とは?

バッテリー交換のためにネットで検索をしてみると、「充電制御車専用」という文言を見たことがある方もいるのではないでしょうか?

この記事ではACG(オルタネーター、発電機)を搭載したガソリン車の12Vバッテリー充電制御についてご紹介します。

目次

充電制御って何?

充電制御とはバッテリーの電圧、電流、SOC、SOHなどを検出して、ACGの動作を変化させる制御のことです。

20年以上前のほとんどの車はバッテリーにセンサーをつけることなく、ACGが一定電圧で発電をするような制御を行っていました。

しかし一定電圧で発電し続けることは不必要にエンジンを動作させ、燃費悪化につながるため、バッテリーにセンサをつけて、充電量を最適化する制御が生まれました。

充電制御とはバッテリーの電圧、電流、充電量を検出して、ACGの動作を変化させる制御

充電制御の目的

主に以下の2点の目的があります。

1. 燃費の向上
2. バッテリ寿命の向上

これらの目的について詳細に解説していきます。

燃費の向上

どのように燃費を向上させているかというと、主に2つの方法を用いています。

余計なACGを動かさないようにする

例えば、バッテリーが100%充電させている時であれば、バッテリーに充電する必要がありません。

そこで、ライトやエアコンなどの使用されている電装品のみにだけ電力を供給することが望ましいです。

そこでバッテリに着いているセンサーから、バッテリーの充放電量を検出し、余計にACGを動かさないように制御をしています。

また停止時にACGを動作させることは効率が悪いため、アイドリングストップ制御によってACG自体の動作を停止する場合もあります。

回生電力を充電できるようにバッテリーの容量を空けておく

ハイブリッド車であれば減速時に回生をして、高圧バッテリーへ充電していることは良く知られていますが、通常のガソリン車もACGを介して回生電力をバッテリーに充電するような制御を行っています。[1]

燃費の向上には余計にACGを動かさず、回生電力のために容量を空けておく制御を実施

バッテリー寿命の向上

バッテリーにとって寿命が縮まない理想的な状態とは「ほぼ満充電状態で充電も放電もしない状態を継続する」ことです。

しかし、実際には一定期間乗らないことによってバッテリーが放電したり、アイドリングストップしている状態で電装品を使うなど、バッテリーにとって満充電状態を継続することは現実的には困難です。

また満充電状態を継続することは、上述した回生電力を充電できるようにバッテリーの容量を空けておくことに反します。

つまり燃費と寿命の両立にはバッテリーを精度よく制御することが必要で、特に後述する劣化に影響する状態に陥ることは防ぐ必要があります。

深い放電を防ぐ

深い放電とはバッテリーが大きく放電することを言います。

放電が深ければ深いほど、バッテリーの劣化が著しく進みます。

例えば下図で言えば赤色の領域でバッテリーが使用されると、バッテリーの劣化が早く進みます。

例えばGS YUASAの鉛蓄電池NP/NPHシリーズの寿命特性によれば[2]で示されているように放電が深いほど、少ない充電サイクル数でバッテリーが劣化してしまうことが分かります。

容量が100%→80%に劣化するまでの充電サイクル数

100%放電・・・約170サイクル

50%放電・・・約400サイクル

30%放電・・・約1000サイクル

マツダの技報では94%[3]がバッテリーにとって最適なSOCと解析をしています。

バッテリーの劣化を防ぐため深い放電を防ぐ制御を実施

充電制御の構成

回路構成は以下の通りです。

電流センサ(以下EBS。Electronic Battery Sensorの略)はバッテリー端子のマイナス側についており、電圧、電流、SOCなどを算出。LIN通信[4]などにより算出したパラメータをECUに送信します。

ECUがその情報を元に適切な電圧指令値を算出し、ACGに送信し制御する構成となっています。

実際の電流センサは下記の通りです。

まとめ

要点は以下の通りです。

充放電制御はバッテリーセンサーの情報を元に、燃費向上、バッテリーの長寿命化を図る制御。

燃費向上のために何しているの?
→無駄にACGを動かさないように制御している。回生のために少し容量を空けておく。

バッテリーの長寿命化のために何しているの?
→深い放電をしないように制御する。

References

[1]マツダ技報 No.28(2010) https://www.mazda.com/contentassets/87fc47b4d41f4dcf9f09ac85d7a69c2e/files/2010_no012.pdf

[2]GS Yuasa 小型制御弁式鉛蓄電池総合カタログ https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/datasheet/GYPS-B005.pdf

[3]https://www.mazda.com/contentassets/18ab23ac160d4a00a1c202984fbf8ce1/files/2007_no029.pdf

[4]古河電工時報第132号 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10378019?tocOpened=1

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この記事を書いた人

電機メーカーから自動車系メーカーへ転職し、電装系の開発を行う窓際会社員。

本ブログで自分が学んできた技術内容を発信します。

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